水に浮く木、沈む木
世界一軽い木、重い木 ご存じですか?
★学者の比重データと講釈から学べば、一番とは言えず、「最も重い木材の一つ」であった。
気乾比重の意外な裏話も紹介します。
◆リグナムバイタ
リグナムバイタは樹高が10m、胸高直径が0.35mほどの「生命の木」という意味の名前を持つ、市場に流通している木材の中で最も硬く重い木です。
乾燥は非常に時間がかかり、割れを生じやすい為、慎重におこなう必要があります。乾燥後は僅かな変形が見られる程度の材となります。強度に関してはほぼ満点と言えるほど、全てが高いレベルにあり、硬さ、耐久性ともに抜群に高いですが、その硬さ故なのか曲げに対する適正はあまりなく、虫の害に関してはそれほどの耐性はないようです。加工は非常に難しく、交錯木理の部分は裂ける危険性があります。また、切削に対してかなり抵抗がある木材なのでじっくり時間をかけておこなう必要があり、油分を多く含む事から接着性はよくありません。釘打ち、ネジ止めに関しても慎重におこなう必要があります。仕上がりに関しては表面に粗さがありますが、しっかりと研磨すれば素晴らしい光沢のある美しい表面が得られます。その他の特徴としてはこのリグナムバイタには一種の芳香もあるようです。リグナムバイタは船舶用部品やナイフの手、数珠などの小物に利用されています。
また、油分が高く、硬いという特性を活かした滑車やベアリング、車輪などの用途に使用されてきましたが、近年ではワシントン条約で非常に注意して扱うべき樹種に指定されており、絶滅の危機にある為、あまり市場にも出回らなくなってきているようです。
◆バルサ
バルサは世界一軽い木材として有名で、ノコギリよりナイフでカットした方が加工が容易な材です。
非常に成長が早い樹種であり5年ほどで樹高20m、直径60cmになります。バルサはとても浮力の強い木材で軽さの割に強度があり、加工が容易なのでホームセンターや模型店で工作用の材として販売されています。欠点としては耐久性がない事とあまり木目が美しくない事です。また、加工の際はできるだけ接着剤を使うようにし、釘打ちやネジ止めは避けた方が良いでしょう。バルサは身近な所ではバードカービングや模型飛行機の材料として有名で、素麺の箱やコルクの代用品としても使用されています。その他、航空機の床材、ボートの材料、救命胴衣としても利用されています。第二次世界大戦中、イギリスのデ・ハビランド・エアクラフトではデ・ハビランド モスキートをはじめとする木製の偵察機、爆撃機、戦闘機が多数作られましたが、その材料はバルサ材を樺材の間に挟んだ合板でした。時代が下り、ジェット機が出現してからも、バルサ材は同じ用途に使われ、アメリカのF4Dでは、バルサ材を薄いアルミ板で挟んだ成型材が使われました。