木材のヤニの役目は何でしょうか? また、先人たちが培った松ヤニの利用方法とは・・・。
ヤニは樹脂ともいい、木材にとってはかかせない重要な栄養分の一つです。匂いや艶などの役割も果たしており、樹種によって香りが違うのは樹脂の違いといえます。また、害虫からの被害を防ぐ働きもあります。
あるテレビで放映された、クイズ番組で「戦国時代に城の周りに松が植えられていた理由は何ですか?」がありました。
その理由は、3つあるそうです。
①マツは針葉樹で、葉が落葉しないので、戦いに備えた防衛柵になります。
②松のヤニは、ロウソクなどの代わりの燃焼になり、戦乱の火矢の油になります。
③非常食として、松の樹皮の内側の白い樹皮を臼でついて水に浸し、苦味と臭みを抜き、乾かして粉にし、もち米などを混ぜてお餅にして食べるそうです。
赤穂浪士の松の廊下にもでてくるくらい江戸時代までは、松は重宝されていました。
しかし、明治4年の「廃城令」以来、城の取り壊した後に桜などが植えられえるようになり、その風習が現在に至っています。
終戦前の1944年(昭和19年)ドイツでは、マツの木のヤニから得られた航空ガソリンを使って、戦闘機を飛ばしているとの情報が日本海軍に伝わり、当時、南方からの原油輸送が困難となって、燃料事情が極度にひっ迫していたため、国内で同様の燃料を製造することが検討されました。
戦時中の宣伝によると「200本の松で航空機が1時間飛ぶことができる」とされていましたが、これは、数十年かけて育ったマツ1本を消費しても「わずか18秒分にしかならない」ということで、当時のバイオマスエネルギー資源としては、効率や再生産性に欠けました。
また、原料の伐採には、多大な労力が必要なため、広く国民に無償労働奉仕が求められました。
「日本海軍燃料史」の45ページには、国民の汗と涙の結晶が「20万キロリットルに達す」という記述があるそうです。それは、今の乗用車1台50㍑入れで、400万台に相当します。