集成材の基礎知識 (Q&A)
Q:住宅部材は使用場所によって、集成材の求められる乾燥仕上りに今と昔とではどんな違いがあるの?
Q:あらわし仕様ってなに?
冷暖房が普及していなかった時代は、木材は天然乾燥さえすれば十分であったが、今日のように、住環境が快適さを求める時代になると集成材は、農林物資から工業製品に近い乾燥精度が要求されている。特に高気密・高断熱住宅では、乾燥度が非常に重要な問題になる。
最近の住宅は「大空間と明るさ」を求めるため、1階から2階への吹き抜けの家、そこへおまけに明るさを求めるので、南面に大開口の窓、屋根にトップライトなどをとり、直射日光がさす明るい家、冬は暖かく、冷暖房でさらに空気が乾燥する住環境にある。
益々、集成材を扱う住宅部材メーカーとしては、使用場所によって求められる仕上り含水率を調整しないと、思わぬところで割れや狂いのクレームが発生してしまう。また、顧客のニーズが化粧ばり製品から化粧を貼らない構造部材が「あらわし仕様」として使われる時代になってきている。(あらわしとは、見せる部材の事)
大手、中小のハウスメーカーなどは、一般住宅に昔は構造用集成材を見えない構造部材として使用してきたが、住宅の洋風化が進むにつれて、吹き抜けやリビング等の節の見える梁・柱が積層意匠として使って頂くことが非常に増えてきている。住宅の構造部材のような断面の大きな材料では、乾燥後に大きな水分傾斜が残りやすく、表面は乾燥されても、中心(内部)の含水率は、高い場合が多い。集成材こそ使用する場所と用途に応じて、材質や仕組み方、仕上り含水率を調整することが重要な時代になっている。
その根拠として、冷暖房完備のない住宅部材が室内や室外の温度・湿度の空気環境になじむ含水率を見てみると、長野県林業センターの資料によれば、土台、大引、根太の1階床部材は、18~20%の値である。風通しの良い床部材は、平衡含水率の15%付近である。室内に入ると柱、鴨居等は12~13%、1階天井付近で11~12%、さらに、小屋組み部材で10~11%である。
最近の流行の2階小屋部材まで吹き抜けで日光が差す厳しい条件では、8~10%の環境で上部部材程、含水率が低下する傾向にある。さらに冷暖房設備があれば、どんな乾燥環境化にさらされるか言うまでもない。
従って、「あらわし仕様」の梁・柱にあっては、構造用集成材の各層すべて芯持ちラミナ(芯持ちは側が板目である為、割れやすい。)とあて材を除き、外層は木裏を表にして構成し、含水率を8~10%に調整することが現在の顧客のニーズに応える方法であると言っても過言ではない。