とりすみコラム

京町家とベトナムの町屋

うなぎの寝床は、日・越同じ

 

▲(左)京町家・(右)ベトナムの家屋

 

京町家(きょうまちや)とは、京都に建てられた町屋です。職住一体型の住居形式で、建築様式としては町家造りと呼ばれます。

 

「きょうまちや」と読む場合は京町屋とも記されます。店舗としてみるなら京町屋、住居としてみるなら京町家と表記されることが多いそうです。歴史的には、店屋と書いて「まちや」と読んでいたそうです。一方、住居を指す「町家」という語は比較的新しく、昭和初期まで町家とは町の集会所のことを指しました。江戸時代中期には現在残る形に近いものとなったとされます。外観は、紅殻格子と呼ばれる色の濃い格子、虫籠窓、犬矢来などが特徴的です。2階建てが多いですが、平屋や3階建てもあります。

 

町家の立地する敷地は、間口が狭く奥行きが深いため、「うなぎの寝床」と呼ばれます。これは三間(約5.4m)の間口を一軒役として課税する豊臣秀吉の税制に反発した形状であるという説があります。これを間口税といいます。江戸幕府の財政難を克服するために、町人から新たに税金を徴収しようと、家の間口一間当たりで課税したことに対抗して、町人が少しでも税金を安くするために、間口を狭くし奥行きが長い町家が各地にできたようです。

それの最たるものが京都の町家です。中世のオランダには、窓の数を基準として税を課す窓税というものがありました。16世紀に、これが間口税という税になっていたそうです。

 

一方、ベトナムの町屋も同じように、間口税なるものがあり、「うなぎの寝床」が上にも伸び、間口が狭く奥行きが長く、その上、地震が無いので薄っぺらい構造の数階建ての建物が立ち並ぶ。豊臣秀吉が行った税制がベトナムにあるとは驚きです。都市計画や建築は、税の仕組みでいくらでも変わってしまうのです。

① 法律によって、床面積が決められている。

② 区画が間口5m×奥行き18mが原則となっている。

③ 広い間口にすると、それに対して税金がかかる。

④ フランス統治下にあって、その影響を受けた造りとなっている。

⑤ 土地代が安くてすむ。

⑥ 狭いところに沢山住むことができる。

⑦ ベトナムは地震がないので、鉄筋のない4階建てが可能。

建物の特徴は、下の写真の通り、間口5m以下、奥行きが18m以下で4階以下です。

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