中大規模の物件に対して集成材が及ぼす特徴
こんにちは
今月のとりすみコラムを担当します、建築スタッフの東山です。
私の所属する部署は、主に中大規模の木質構造体を扱う部署です。
その中で、機械加工のオペレーターをメインに従事しております。
どうぞよろしくお願いします。
今回は、中大規模の物件に対して集成材が及ぼす特徴について、お話ししていきたいと思います。
まず集成材の特徴として、
狂いや乾燥時の割れ・反りが少ないことや、強度性能のばらつきが少なく
品質が安定していること、などが挙げられます。
しかし、建物をデザインする側・設計する側からの視点で考えた時、
その最大の特徴は 「自由な形状・寸法の部材が製造可能であること」 だと思います。
集成材は短辺・長辺・長さ方向を自由に接着調整することができるため、
長大材や湾曲材を製造することが可能です。
因みに、私自身が物件で経験した集成材1本の最大長さは、約24.5mでした。
この部材の運搬は、ポールトレーラーを最大に伸ばしても納まり切らなかったので、
現場担当者が、運送会社とルートの確認や色々な申請をしていたのを思い出しました。
では集成材がどの様に構造体として落とし込まれ、デザインされているのか、
弊社の携わった物件を基に、写真で見ていただきたいと思います。
集成材を用いた大スパン構造の意匠上の優れた点は、「架構美・構造美」 にあると思います。
今回は各集成材の特徴が分かり易く比較できる、「体育館縛り」でまとめました。
(写真1)
小学校の体育館です。構造体の樹種はスギ。集成材は通直集成材です。
山型ラーメン構造の現しが、質実剛健としていて見ごたえがあります。
(写真2)
九州の学校の体育館です。構造体の樹種はベイマツ。集成材は湾曲集成材です。
2方向へ伸びていく湾曲材の断面寸法は、260×900 あります。
(写真3)
小学校の体育館です。構造体の樹種はベイマツ。集成材は変断面集成材です。
変断面集成材とは、「材の成(せい)が材軸に沿って変化するもの」 をいいます。
中大規模の構造体によく使う変断面集成材は、主に 通直材+湾曲材 的な集成材です。
今では殆ど見かけませんが、私個人的には 「これぞ集成材の真骨頂」 だと思っています。
このように自由なデザイン、構造計算に基づいて必要とされる強度の部材を供給出来る事が、
集成材が及ぼす最大の特徴であり強みであると考えております。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回もよろしくお願いします。