木材の含水率測定方法
こんにちは。
今月のとりすみコラムを担当させていただく、品質管理スタッフの池永です。
どうぞよろしくお願いいたします。
今回は含水率の測定方法について説明いたします。
木材には、空気中の湿度が高いときはその水分を吸収し、低いときには水分を放出し、常に湿度を50~60%に保つ働きをします。環境に合わせた含水率(平衡含水率)にすることによって調湿効果がさらに高まります。
日本の平衡含水率は地域に差はありますが15%程度です。
また、集成材の日本農林規格では製品の含水率基準は、平均値で15%以下になるように定められています。
●含水率とは
木材中に含まれる水分量であり、次の式で示されます。
U=100(Wu-Wo)/Wo
U:含水率(%)、Wu:ある水分状態での見かけ重量、Wo:全乾状態での重量 となります。
したがって、図1のように、木材中に含まれる水分重量が木材の全乾重量と同じであれば、含水率は100%となります。
含水率が同じでも密度が異なれば材に含まれている水分量は変わります。
●含水率の測定法
含水率の測定方法は、全乾法や電気抵抗式含水率計、高周波式含水率計を使用します。
木材の含水率を知るためにはまず木材自体の重量(全乾重量)がわからなければなりません。
しかし、実際は大きな木材を全乾することはできませんので、それに変わる方法を用います。
(1)小さな試験片で代用する方法(全乾法)
測定対象の木材から小さな試験片を切り出し、含水率を測定する方法です。
これは木材の含水率をほぼ正確に測定でき、品質管理用の抜き取り検査に向いているやり方です。
【短所】一部分の試験片の値となってしまうこと、材をカットしなければならないことです。
全乾含水率の測定方法
測定したい材から試験片を切り出し、直ちに重量を測定します。
103℃の乾燥器に試験片を入れ、重量が変わらなくなるまで(1〜2日)完全に乾燥させます。
完全に乾燥した試験片の重量(全乾重量)を測定し、含水率を計算により算出します。
U=100(Wu-Wo)/Wo
U:含水率(%)、Wu:ある水分状態での見かけ重量、Wo:全乾状態での重量
(例)写真の試験片の場合・・・
含水率=100(45.93-40.92)/40.92=12.2(%)となります。
(2)木材に直流電気を流して、その流れ易さから確認する方法(電気抵抗式含水率計)
木材に電気を流すと、木材中の水分が少ないほど電気が流れにくい性質があり、それを利用して測定する方法です。
針状となっている2本の電極を木材に打ち込み、その間に電流を流して抵抗値を測定し、含水率に換算したものです。
【短所】打ち込んだ周辺のみの測定に限られる、含水率が30%を超えると電気抵抗がほとんど変わらなくなるので精度が低下する、木材の電気抵抗は温度が高くなるほど小さくなるので20℃を基準に補正が必要になることです。
(3)木材に高周波などの電磁波を流し、吸収される容量から確認する方法(高周波式含水率計)
高周波式含水率計には、容量式と抵抗式の2種類があります。
木材の含水率としては一般に前者が用いられます。
木材に高周波を印可すると、含水率によって吸収される高周波の容量が異なることを利用しています。
この方式のものは、かなり高い含水率でも平均含水率が測定できるうえ、電極は一般的に押し当て型なので材に傷がつかず、生産現場ではよく使われています。
【短所】密度や樹種の影響を大きく受けるので、必ず補正する必要があることです。
以上、木材の含水率について3通りの測定方法をご説明しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。