木表と木うら
こんにちは。
今月のとりすみコラムを担当させていただく、品質管理スタッフの池永です。
どうぞよろしくお願いいたします。
今回は木表と木うらの違いについて説明いたします。
【板目板の反り】
丸太から、年輪の接線面を広い材面に含むような断面で板をとることを板目木取りといいます。
図1でAのような木取りです。
板目板の広い材面にはタケノコ型の木目が現れます。
樹種:スギ
ここで、板の樹皮側の面を木表(きおもて)、芯側の面を木裏(きうら)とよんで区別しています。
樹種:オウシュウアカマツ
乾燥・収縮すると木表側にそるといわれています。
確認するため試験機で強制的に、水を注入しました。
板は木うら側に反りました。
その後、乾燥させます。
板は木表側に反りました。
乾燥すると木表側に反るので、板目板を使う際は、木表と木うらの区別は重要となります。
木材の収縮率は、接線(板目)方向>半径方向なので、木表側に反る結果となります。
∴ 板目板の収縮量 木表側>木うら側
一枚板のテーブルなどでは、木表を上にするのが普通です。
住宅では乾燥するので、凸になるより凹になったほうが、のせたモノが転がり落ちなくてよい、ということかもしれません。
ちなみに図1のBのように年輪の半径面を広い材面に含んで板をとることを柾目木取りといいます。柾目板の場合、木表、木うらの区別はありません。柾目板は、表うらで向かい合う面はどちらも放射方向で、芯からの距離も同じなので、両面で収縮率が等しくなります。そのため、板目板と比べて反りが生じにくく、変形リスクが少なくなっています。
【年輪接触角】
年輪の接線方向と材面がなす角度を年輪接触角といいます。
木表面の年輪接触角は、木うら面に比べて小さくなります。
同じ厚さの板目板を、芯に近い部位から採材すると、木表面と木うら面の年輪接触角の差(収縮率)が広がり、幅反りも大きくなります。(図3:A-2)
反対に、芯から十分に離れたところから採取すると、木表と木うらの年輪接触角の差(収縮率)は狭まり、幅反りも小さくなります。(図3:A-1)
また、スギをはじめとする針葉樹材では、木表面では、年輪境界と材面が鋭角になり、木うら面では鈍角となります。(図4 ①②)
その結果、木表では木目が沈む感じになり、反対に木裏では木目が浮く感じになります。
【年輪】
年輪は、春から夏の成長が旺盛な時期に形成される「夏目(早材)」と晩夏から冬の成長が遅い時期に形成される「冬目(晩材)」が交互に並んでいきます。
年輪の色が薄い部分が夏目、濃い部分が冬目です。晩材は早材に比べて密度が大きく硬いからです。
さわった感触も、木表面はなめらかですが、木うら面は晩材が浮くためざらざらした感じになります。このため、針葉樹を床板や天板に使う場合は、木表を上側に使い、手に触れる材面となるように配慮しているように思います。
樹種:ベイマツ
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。