曲げヤング係数について
こんにちは。
今月のとりすみコラムを担当させていただく、品質管理スタッフの池永です。
今回は、『曲げヤング係数』について ご説明したいと思います。
皆さまは、曲げヤング係数という言葉を聞かれたことがありますでしょうか。
曲げヤング係数とは・・・
木材(たとえば)に加えられた「曲げの力」と、そのときの木材の「縦ひずみやたわみ」の程度の関係を表す数値のことです。数値が大きいほど(曲げ)強度が高くなります。
曲げヤング係数を求めるには、曲げB試験を行います。
試験は下図の通りに、適当な初期荷重と最終荷重を加えた時のたわみの差を測定し、計算式により曲げヤング係数を算出します。
このヤング係数は圧縮、引張、曲げの各試験からそれぞれ計算できます。
荷重条件に応じて、たとえば今回では「曲げ」ヤング係数のように表現されます。
それではなぜヤング係数が必要なのでしょうか。
いま、以下の写真のラミナーを簡単な足場板として考えてみました。
足場板が薄いので、たわんで危険なように思います。
このたわみの量は、建築物の設計では制限されていて、それを超えないように設計しなければなりません。
足場板のたわみを少なくするには、なんとなく
①たわみにくい材料を使う
②断面を大きくする
③足場板の長さを短くする
といったことが思いつきますが、図の計算式からもそのとおりになっているのです。
この「たわみにくい材料」が、「ヤング係数が大きい材料」ということになります。
また、断面を大きくするには、幅を広げるよりせい(厚さ)を増やす方がより効果的です。
たとえば幅を2倍にしてもたわみは1/2にしかなりませんが、厚さを2倍にすればたわみは1/8になります。
③の足場板の長さを短くするというのは、ラミナーを支える2つの点(支点)の間に支点を作り、2枚のラミナーに分けるという案です。
ラミナーの長さが半分になればたわみは1/8になります。
実際に試してみました。
支点が3,600㎜の場合
重り2㎏
たわみ37.68㎜
支点が1,800㎜の場合
重り2㎏
たわみ4.72㎜
と計算式どおりおおよそ1/8になりました。
このように、構造物を設計する場合は、荷重、スパン、材の巾そしてたわみの制限は条件として与えられています。設計者はその条件の下で、適当なヤング係数の材および材の厚さ(高さ)を決める必要があります。
ですので、ヤング係数のわからない材料では設計ができないということになります。
とくに木材や木質材料のように性質が均一でない材料を使う場合には、あらかじめヤング係数を測定しておくことが必要不可欠となります。
ちなみに、集成材のJASラベルではE表示がヤング係数を示しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。